現場へ!認知症当事者はいま④
和歌山県御坊(ごぼう)市。紀伊半島の西海岸のほぼ中央、人口約2万3千人の小さなまちが生みだした条例がすてきだ。「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」(2019年4月施行)
画期的なのは、つくる過程で、認知症の当事者の声をじっくりと聴き、いっしょに創った点だ。どのように実現したのか。
まず市の条例を考えるワーキング会議に、地元の当事者山際裕三さん(80)がメンバーとして毎回出席し発言。さらに市の介護福祉課係長の谷口泰之(41)さんたち職員が地域で暮らす当事者の意見を聞いて回った。当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事(59)にも会議の一員として協力をえた。
拡大する山際裕三さん。「わいが認知症とわかっててバカにするやつがおってな。腹立って『おまんこそ常識ない』って言うたんや」と話してくれた
昨年11月29日、御坊市で開かれた「本人サミット」には、当事者13人を含む40人が集い、当事者の視点で条例をわかりやすく書いた「ガイド」冊子が配られた。
条例の名前の当初案は「認知症にやさしいまちづくり条例」だった。山際さんたちから「やさしいって言われると、支えられ守ってもらう感じ。一緒に地域をつくる仲間なんや!」と声が上がって、「総活躍」に落ち着いた。
拡大する認知症「本人サミット」には各地から大勢集まった。まず山際裕三さんのハーモニカにあわせて「ふるさと」を全員で合唱した=和歌山県御坊市
認知症の本人にとって「安心」…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル